著者 西村賢太 (ウィキペディア)
発行 講談社 2018年1月12日 第1刷発行
著者の西村賢太氏は(わたし的には)今は亡き車谷長吉氏と並んで、期待を裏切らない強烈で過激な私小説家です。
私は2007年に西村賢太の「暗渠の宿」という野間文芸新人賞を取った作品を読んで、何か魅かれるものがあり、それから興味を持つ様になってしまいました。
そして、2011年にあれよあれよという間に、「苦役列車」で芥川賞受賞。
テレビのバラエティー番組などにも時々出ていましたが、現在はあまり出て無いようです。
この著者が芥川賞を取ったほどの、凄い作家のイメージがいまひとつないのですが、読者を飽きさせない読みやすい文章力、脇役の登場人物の心の動きを描く筆力は真似できないものがあります。
著者を詳しく知りたい方は、上の著者の名前が、ウィキペディアにりんくしますのでどうぞ。
この書名は随分洗練されたふうで、純文学の香りすらします。
しかし読む前から一部のフアンの読者には内容・結末がほぼわかってしまう位の、読者の期待を決して裏切らない?、「クズの中のクズ」の、最低DV男では誰にも負けない男、北町貫多の物語です。
自分の名前「西村賢太」をもじって名づけた「北町貫多」はまさに著者の分身なのですね。
この本は3編になっていて、1編目が「寿司乞食」2編目が表題作、3編目は、表示するのも憚れるので書けませんが、”麺”がつきます。
中学を卒業してから、日雇いとアルバイトで生活している22歳の1編目と24歳の2編目、そしてすでに作家になっている50歳の3編目の北町貫多です。
2編目の表題の小説は、北町貫多がアルバイト先で知り合った久々の「彼女」との出会い、傷害を伴うDVと破局を、くどいくらいのクズっぷりに描き、読者を満足させてくれますが共感はしません。
ほかの小説でも、一貫して主人公は北町貫多ですが、自分の分身を突き放したように描き、ダメっぷりを強調する文体はいいですね。
またあくまでもゲスな主人公が、根がスタイリストで自分を「ぼく」と言うのがなんとも面白い。
詳しいあらすじは割愛しますが、いつも西村賢太の本を読み終わった後に、自分も北町貫多と似たところが、もしかしてあるかもと探す自分がいます。
今日も読んでいただきましてありがとうございます。
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