(1968年英国北アイルランド出身)
訳者 武藤陽生
発行 早川書房
舞台は1981年、長年の宗教対立紛争の中、暴動動や暴力で混沌としていた、英国北アイルランド・ベルファスト市北部の町
主人公は、王立アルスター警察隊のショーン・ダフィ巡査部長でカソリック教徒。
ここの警察隊は殆どがプロテスタントで、主人公がカソリックというところが、読む前からいろんな想像を掻き立てられます。
ヨーロッパの歴史は一応勉強したけど、異教徒ではなく、同じキリスト教同士でそれほどまでに熾烈に争ったのか、日本人には理解できない面があります。
プロテスタントのユニオニスト、ロイヤリスト、アルスター義勇軍、アルスター防衛同盟
カソリックのナショナリスト、リパブリカン、アイルランド共和軍(IRA)
王立アルスター警察隊、及びその特別部、英国情報局保安部(MI5)等々。
良く解らないそれらの組織が入り乱れて、内戦に近い状態になっていた時代の北アイルランド(アルスターは北アイルランド6州+アイルランド3州)の警察小説です。
なので、ロス市警やニューヨーク市警、あるいはCSIのような警察ものとは一味違う感覚があります。
内容としては、毎日が暴動とテロの町で事件が起こり、上層部からもう捜査しなくて良いと言われる中、ダフィ巡査部長が執拗に真相に迫っていくものです。
出勤する前に必ず、車の下に水銀スイッチの爆弾がないか確認しなければならないという時代背景で、今から37年前の捜査は科学的ではなく泥臭いものです。
主人公の同僚・部下とは信頼感があり、会話も泥臭いところもあるが、ユーモアもある。
「はい」と言うのも出てくるので、ニュアンスが違います。
何となくのどかでユーモラスな感じで、嫌いではありません。
周りは危険が一ぱいの世界なんだけど。
事件は、現代の科学捜査の様にはいかない方法ですが、とりあえず一件落着。
次回への余韻を残して、終了します。
アメリカの警察ものとは一味違う、面白い警察小説の1冊でした。
今日も読んでいただきましてありがとうございます。
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