2016年11月25日金曜日

百田尚樹 「錨を上げよ」 を読んだ感想

こんにちは、団塊定年おじさんです。

百田尚樹 「錨を上げよ」 講談社

題名を見たとき、3年くらい前に同氏の「海賊とよばれた男」を買って読んでいたので、カリスマ的な熱血漢の船長の話か、本当に海賊の小説かな?と思いました。
でも読んでみると、少し意味合いが違っていました。

この本は上下巻で1200ページほどあり、読むのが大変かなと思ったのでしたが、1週間ほどかけて読んでしまいました。
1日200ページくらいですが、読みにくくはなかったですが、読み応えはありました。

この長い小説は主人公の、ぼく=作田又三という昭和30年、大阪生まれの男の、一生ではなく、、生まれてから30歳までの高度成長前後の歴史の中で生きた”やんちゃ”で、規格外の男の波瀾万丈の破天荒な行き当たりばったりといえる人生を描いています。(;´・ω・)

主人公の作田は昭和30年大阪生まれで、著者本人とダブる点もあるようです。大学時代に知り合った柿本という友人が出てきますが、この柿本も著者の一部のような気がします。

作田のむちゃくちゃな生き方は共感できない部分もあるのですが、完全にフィクションとしてみれば、私と5~6歳下の年齢で、生きた時代はかなり重なりますので、それは懐かしく面白い小説と言えます。

この小説は作田の小中高校時代から大学に入るまでと、大学3年生(回生)の時に退学して、東京に向かうまでが上巻で、それから東京、北海道、大阪、タイバンコクでの波瀾万丈の人生の30歳になるまでが、下巻です。

悪ガキ時代、受験勉強、友情、家族、セクトとの葛藤、恋愛、失恋、裏切り、パワハラ、犯罪、敗北、不屈、大阪のテレビ局での構成作家生活、結婚生活、離婚、危ない仕事・・・・。
平凡な人間では体験できない経験を通して、様々な場面で本人は反省しつつも前向きに生きようとします。

ここで錨を上げて、次の30歳からの人生に踏み出してくれるのかな。

この1200ページの小説の中で、作田が商業高校を卒業して、スーパーに就職したが、大学に行きたくなって、そこを辞めて独学で受験勉強して、同志社大学に合格する場面は、私も高卒後4年目で退職して独学で大学に入学しているので共感した部分でした。

同じ時代で同じような大学の状況でしたが、作田は3年生の時退学してしまうのですが、私は卒業してしまいました。
私の大学では試験がよく中止になって、レポート提出で単位が取れて、勉強しなくても卒業できてしまう状況でした。

それでアルバイトに精を出していました。
自活していたので・・・・。
今思っても何のために大学に行ったか分からないですね?
自己満足の回り道のようでした。

作田の生き方を見て、自分のあの時代を思い出しました。
この本の感想です。